隔月刊『風景写真』の撮影会 レポート&講評会

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カテゴリ:WEB講評会( 15 )

江口愼一さんと行く月山 ブナと花、水風景が美しい初夏の山麓へ! 【WEB講評会】

自然豊かな初夏の月山で開催された撮影会。
期間中にはブナ林や季節の花々に加え、滝や渓谷などの水風景と出合うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の江口愼一さんがセレクトしてコメントします。

なお、江口さんのご厚意により、今回に限りお一人さま2作品ずつ掲載・講評します。


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戸田彩子さん「もうすぐ、夏」
蝉の抜け殻を主人公にして、とてもバランスよくまとめられています。バックの木漏れ日の光を活かした背景処理が秀逸でした。ソフトなボケ味のトーンの中で、シャープに描写された主題が、よりいっそう際立って見えますね。


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戸田彩子さん「一瞬の光」
絶妙のシャッターチャンスを的確に捉えられました。天空から差し込む木漏れ日の光が可憐な花を浮き彫りにし、その姿がアンダーな背景から印象深く映し出されています。バックの透過光に透ける鮮やかな葉のグリーンや、手前の葉の上に落ちた花のシルエットもおもしろい演出をしています。


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矢吹幸子さん「森の家族」
逞しいブナの生命力を感じさせる表現になっています。下から見上げるようにして捉えられた視点が的確でしたし、曲線を描く樹景の特徴も上手くフレーミングされています。鮮やかな緑の色調に初夏の季節感が漂っていますね。


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矢吹幸子さん「光走る」
瞬間的な葉に差し込んだスポットライトに着目し、味わい深い作品に仕上げられています。シャープに描写された葉脈の表情が印象的ですし、ソフトなボケ味を効かせた背景処理も巧みでしたね。爽やかな森の空気感を覚える絵になりました。
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by fukei_photo-tour | 2012-08-23 11:28 | WEB講評会

辰野 清さんと訪ねる越後路、春色あふれる松之山へ【WEB講評会】

新緑と残雪のコントラストが眩しい春の松之山で開催された撮影会。
期間中には、美人林の新緑や朝霧漂う棚田、桜の古木などに出合うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の辰野 清さんがセレクトしてコメントします。


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舘岡保夫さん「はるいろ」
芽吹きが始まり出しても、美人林の池に融雪が残っていることはとても珍しい状況です。残雪が加わることで、芽吹きの緑色と水面に浮かぶ昨年の枯れ落ち葉をスムーズに繋ぎ、春の穏やかな時間がゆっくりと流れています。投影された木々のラインを丁寧に構成しているので、軽やかな春のリズム感も表現されました。


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高橋由香理さん「感喜の歌」
小さな里山にも春が訪れました。古くから信仰の礎とされてきた神社とともに、この桜の老木も多くの人々に敬愛されてきたことでしょう。冬が明けて、満開の桜から受ける生命力の強さは、この地域に生きる人々の心の高まりを意味します。暗い背景に対して半順光となる光の選択も良く、花びらの一枚一枚の色を鮮やかに描くことができましたね。ちょっと色褪せた赤いトタンの入母屋屋根も作品にのどかさを添えています。


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斉藤紀子さん「映り代わり」
雨上がりの水たまりに小さな春の姿を見つけましたね。雨に打たれて散った数枚の花びらに、華やかさの代償ともとれる儚さを描こうとした着眼点が素晴らしいです。多くの方が桜そのものに着目する中で、新鮮な個性を感じさせます。我が子を覗くような構成は、女性ならではの思いやりの表れですね。地表であることを表す水際のラインを少し入れると、散ってしまった現実感が高まり、さらに儚さの後押しをします。


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辻 利徳さん「若緑輝く」
芽吹いて間もない透き通るような若葉の森で、深呼吸をしたくなる作品です。大きな森の中で二本のブナがともに生きている姿が逆光に浮かび上がり、印象的ですね。太陽を樹で隠すことで、木々のシルエットと輝く若葉のコントラストの鮮やかさが際立ちました。勢いを感じる対角線上での構成ですが、画面手前中央に樹を入れて存在感を優先する力強い構成も考えられます。


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内山義昭さん「無題」
残雪がたっぷり残る豪雪地帯ならではの風景。満開の桜を小さめに配置し、その場で感じた空間の心地良さを素直に表現しています。青空に立ち上がる卷雲の爽快さと眩いばかりの残雪とのコントラスト、縦位置での高さへの期待感など、あたかも自分がその場にいるかのような空気感が漂う美しい作品です。左側の森の奥に続くラインは、青空への求心力を削ぐのでカットした方がいいですね。


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小林一郎さん「春の訪れ」
小林さんの作品は広めに撮影された写真が多くありましたが、どれも必要な空間を端正な構成力でまとめていて安定した写真力を感じます。この作品も川のS字カーブを軸に、川柳の新緑をバランスよく配置しています。この日は日差しが強く、コントラストが作画の邪魔をする状況でしたが、一瞬の雲の翳りと緑色をアピールする思い切った露出の判断は適切でした。


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藤井敏雄さん「春暁-2」
同じ場所から撮影した、空をわずかに入れた作品と、空を入れないで撮った写真の選択を含めた評価を、とのことですが、私は空を入れない「春暁-2」を選びました。空を入れた写真は空の効果による遠近感が生まれ、「春暁-2」は、手前の丘を多く入れたので同じような広い遠近感が出ています。そうなると作者が何を見せたいかが注目されますが、「春暁-2」は棚田にたなびく光芒をしっかりと見せています。上下を影のスペースで挟んだ効果も、光芒をより魅力的に感じる一因でしょう。主題が強く感じることで作品は強くなりますから、「春暁-2」の方が構成も含めて優れていると言えます。
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by fukei_photo-tour | 2012-08-04 20:36 | WEB講評会

辰野 清さんと行く秋の松之山、ブナと棚田を訪ねる3日間【WEB講評会】

懐かしい山村風景が広がる松之山で開催された撮影会。
期間中には、紅葉のブナや柿の木などをはじめ、早朝に訪れた棚田では霧が眼下を包み込む
千載一遇のチャンスにめぐり合うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の辰野 清さんがセレクトしてコメントします。


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舘岡保夫さん「狭霧たつ棚田」
日の出の頃の幻想的なドラマも終息に近づき、日常ののどかな棚田へと変化する一瞬を
捉えました。手前に入れた枯れススキが秋の風情を誘っています。
また霧の動きのバランスを見ながら、大きな水田を手前に配置して画面を構成したことで
安定感が増し、格調高い風景になりました。


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古沢修一さん「プリズムの小径」
知らないうちにコツコツと自分の風景を撮っていたのですね。秋光に輝くススキに見守られ、
古沢さんの心は憧憬への小道を歩いて行ったのでしょう。
虹色の光の屈折は、童心の楽しい思い出と見ることもできます。出会いの発想を優先した
独自の表現が光ります。


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小原ハルミさん「無題」
秋葉が舞う池のほとりで、小原さんに小さな出会いがあったようですね。
まだ緑葉をまとう小さな木を、森の仲間たちが見守り応援しているような、曲線と直線を
うまく活かした画面構成が独創的です。
青空の効果もあり、生命力溢れる森の会話が聞こえてきます。


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斉藤紀子さん「錦の袋帯」
蔦の葉の落ち茎が露わになった姿を見て、錦の袋帯に例えた斉藤さんは感性豊かな人
なのでしょうね。逆光に輝く紅葉の縦のラインに西陣の経錦をイメージしたのでしょうか。
そのように見ると、日陰の黒染めと朱色の織糸のコントラストに雅な美しさが
感じられるから不思議です。


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佐藤宣臣さん「風雪に耐えて」
豪雪地帯の過酷な環境に耐えた生命の造形を、広角レンズで撮影したことでより力強く表現
しています。光の動きを見ながら強い光を避けて撮影したことで、あがりこブナの複雑な
陰影を描くことができました。モノクロを選択した表現からは、造形への感動をストレートに
表そうとする佐藤さんの気合が感じられます。


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白子優子さん「秋深し」
秋の収穫が過ぎた山里。田んぼに残った稲株と取り残された柿の彩りにどことなく
やるせなさが漂う風景です。
伸びた庭草から察するに、茅葺き屋根の住人は今はもう居ないのかも知れません。
目立つ曇り空をうまくカットして、それぞれの趣を端正な構成でまとめた作品です。


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市川貴史さん「銀杏染」
地面を埋め尽くす銀杏の落葉が、行く秋の憂愁を誘っています。まるで金色のタペストリーを
敷きつめたような美しさがありますね。力強い樹根を構成の軸としたことで、幾久しく繰り返す
命の燃焼であることも示唆しています。
落葉に包まれるような緑色の草も、季節の移ろいとともに大地に馴染んでいくのでしょう。
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by fukei_photo-tour | 2012-03-01 11:09 | WEB講評会

マクロの達人・江口愼一さんと訪ねる秋色の月山【WEB講評会】


美しいブナの原生林が広がる東北の名峰・月山。
この地を知り尽くした江口さんの案内で、紅葉に包まれた滝や沼の畔のブナの彩り、
朝日に輝く湖面など、期間中にはさまざまな被写体を撮影することができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の江口愼一さんがセレクトしてコメントします。


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永井敏夫さん「地蔵池の秋」
夕方の斜光線によって浮かび上がった池の情景が、とても艶やかに表現されています。
対岸の味わい深い樹景に的を絞った構成が秀逸でしたね。
手前の草木のシルエットの活かし方も的確で、おもしろい効果を上げています。
メリハリの効いた画面に仕上げられました。


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加藤澄子さん「朝つゆ」
とても瑞々しい作品ですね。朝露のひと粒が実にシャープに描写されていて、
その滴の中の映り込みも印象的です。光の円ボケを活かした表現も美しく魅力的で、
清々しい空気感が感じられる写真になっています。
動きのある緊張感を覚える画面構成が秀逸でしたね。


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滑川敏行さん「秋の陽」
秋の穏やかな光に縁取られたブナの樹景が、とても印象深く表現されています。
ラインライトに光る幹の表情が美しく魅力的ですし、背景の紅葉の森の情景と絡めた
画面構成がバランス良くまとまっています。
明暗のコントラストが画面を引き締めて、メリハリを与えています。


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小川三良さん「秋の宝」
やや視線を下げて、水面に映り込んだ情景に的を絞ったフレーミングが秀逸です。
その思い切った切り取りによって、実に個性的な表現となっています。
とてもバランス良く構成されいて、水辺の瑞々しさや秋の爽やかな空気感が伝わる
画面に仕上げられました。


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小池福子さん「秋の彩」
落葉して裸木となった樹木とその奥の紅葉を重ね合わせて、おもしろい演出効果を
生み出しています。手前の樹に味わいがあり、画面全体として趣きも
感じさせる表現になっています。
深みのある色調描写に配慮した露出設定が的確でしたね。


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齋藤建彦さん「寄り添う木々と見守る仲間たち」
特徴的なブナの幹のラインに着目し、とてもユニークで独創的な絵づくりをされています。
低い視点からブナを見上げるようにして狙い、超広角レンズで
ワイドに捉えたフレーミングが秀逸でしたね。
周囲の樹々も巧みに活かし、迫力を覚える画面にまとめられています。


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松本修一さん「曙光」
朝焼けの温もりを覚える色調が印象深く描写されています。
シルエットで捉えた山の表情が画面を引き締め、雲のフォルムが画面全体に
動きを与えています。ややアンダー気味の露出設定がピタリと決まり、
コクのある色合いが得られました。
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by fukei_photo-tour | 2012-02-20 12:01 | WEB講評会

鈴木一雄さんと辿る風景多彩な新緑の小国【WEB講評会】

例年よりも雪解けが遅かった飯豊山麓の小国の森。
期間中にはカタクリの群生地や川霧湧く渓谷、そして霧に包まれたブナ林など
さまざまな被写体を撮影することができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の鈴木一雄さんがセレクトしてコメントします。

なお、鈴木さんのご厚意により、今回に限りお一人さま2作品ずつ講評します。

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町田欣也さん「夜明け前」
夜明け前の雰囲気がよく表れている作品です。山の上にたなびく雲を一番形のいい時に
捉えていて、適正な露出で妖艶な感じを見事に表現しています。
まるで絵画を思わせるような一枚です。


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町田欣也さん「艶やかに」
ブナが立ち並ぶ様子を力強く切り取りましたね。
題名通りに、雨に濡れたブナの幹肌の艶やかな美しさがしっかりと描かれています。
木の背景が明るいことで、より強く光が感じられる画面になりました。


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千葉慶胤さん「ぶな歓喜」
いくつも枝分かれしているブナの巨木が、雨に打たれてしっとりとした光景を情感豊かに
描いています。広角レンズを使う場合は、カメラ位置の選択がとても大切ですが、
いいポジションを選んで撮影しています。露出も適正です。


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千葉慶胤さん「朝霧の里」
まるで中国の山水画を思わせるような風景です。山肌や田んぼのディテールをわずかに残す
青白いローキー気味の露出が絶妙です。田おこしが始まる前の画面手前の田んぼから、
小国の遅い春が感じられます。



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関口俊夫さん「午後の水面」
切り詰めた露出により、湖面の表情がくっきりと浮かび上がりました。
明るめの露出では決して描けない、水面の模様とシルエットの木立の造形美が実にうまく
組み合わさっています。アップ気味に捉えて正解でした。


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関口俊夫さん「妖精の唄」
前ボケをうまく配置しながら、縦位置で主役を上手にフレーミングしています。
ピントも蘂(しべ)にきちんと合っています。タイトルと写真がマッチしていて、
画面構成にもまったく無駄がありません。
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by fukei_photo-tour | 2011-09-06 10:57 | WEB講評会

辰野 清さんと行く春の伊那路、桜三昧の旅!

例年より開花が遅かったものの、撮影会の期間中には見事に満開となった伊那谷の桜。
しだれ桜やエドヒガンをはじめ、スイセンやコブシなど季節の花々にも
出合うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の辰野 清さんが一枚を選んでコメントします。

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奥村静子さん 「春の彩り」
桜など千両役者が揃う春においては、姿形の割には椿の印象は比較的薄いと思います。しかし、奥村さんはしだれ桜の影で楚々と咲く一輪に注目したことで、椿が春の主役を演じましたね。視点の鋭さが個性として感じられます。背景の空が明るく、椿が黒く潰れてしまう難しい場面ですが、わずかな光に注目し露出を上手に決めています。


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北岑順彦さん 「早春」
真っ白な雪山と澄みわたる青空、田おこし間近の田んぼの畦道に咲く満開のスイセン。まさに信州を代表する絶景ですね。アングルを低く構えて、スイセンと雪山が気持ちよさそうに会話しているような構成が、北岑さんの拘りなのでしょう。スタンダードな作風ですが、長く飾っても見飽きない美しい作品です。


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舘岡保夫さん 「よりそって、春」
田園風景ならではの、のどかな春の空気感がいいですね。ゆっくりと温められ、蒸すような土手や枯れ草の匂いも感じられます。舘岡さんは一足早く春を迎えたコブシの大樹と桜の若木の対比に、春のささやきを聞いたのでしょう。もう人気の無い旧家も繰り返す時代の流れを感じさせ、味わい深い脇役として生きています。
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by fukei_photo-tour | 2011-07-01 16:03 | WEB講評会

山口高志×風景写真“ 塾” in 伊豆市2011[早春]

2月下旬に開催された「山口高志×風景写真“ 塾” in 伊豆市」では、
河津桜をはじめ一面に咲く菜の花や梅林など、
色鮮やかな春の彩りを満喫しました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の山口高志さんが一枚を選んでコメントします。

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天野善正さん 「無題」
今回送っていただいたすべての作品の画面構成がとても纏まっています。中でもこの旧天城トンネルは他の作品と雰囲気が異なり、終日の雨により、よい具合に路面が濡光っているのも幸いしました。下田へ向う出口を僅かに覗かせ、そこへ引き込むようなランタンの連なりが旅情を誘います。タイトルは「氷雨の天城越へ」とでもつけましょう。

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粟野陽子さん 「春香」
下賀茂青野川畔に開かれた菜の花畑から、菜の花特有の強い花の香りが漂うようです。春の雨をたっぷり含んだ潤い感も伝わります。川堤の雨霧に霞んだ雰囲気も上々です。が、その上部に覗く民家群をもう少し隠すと、いっそう情趣が増します。しゃがみ込んでローアングルを取れば、目立たなくなります。


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市川貴史さん  「梅の丘」
撮影時の天候をうまく活かして撮影した作品で、伊豆の雰囲気がよく感じられます。この作品は咲き始めの白梅をモチーフとして、伊豆連山特有の穏やかな斜面に咲く白梅の慎ましさをよく伝えています。日の陰った物寂た背景との絡みで、枯れ草の斜面に射す一条の輝きが画面を引き締めています。

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中野達也さん 「桜燈の里」
すべての作品に作者独自の視点や撮影姿勢が窺え、纏まりがあります。本作品にもそれが現れていて、下賀茂南のカワヅザクラ堤の情景をよく伝えています。並木の上部に上がる湯煙を捉えるタイミングがよく、湯の街らしさが窺えます。左下方の歩道の奥をもう少し覗かせると、いっそう川畔の風情を感じます。

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武笠健次さん 「無題」
荒れ模様の天候を活かし、スケール感に満ちた奥石廊崎の景観的特徴をよく引き出されました。画面のメインであるジグザグに折り重なる枯れ草原と、遠くに覗く岬や島との大小のバランスがよく調整されています。それにより、断崖に傾れ込む茅原の落差や遠近を感じます。
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by fukei_photo-tour | 2011-05-16 14:55 | WEB講評会

第10回写会「米 美知子さんと行く御来光と紅葉の渓谷」

11月下旬に茨城で開催された「第10回写会」。
花貫渓谷の紅葉やモミジに彩られた滝など秋の紅葉を満喫したほか、
早朝に訪れた大洗海岸では、大波が岩礁に立つ鳥居に打ちつける
めったに見ることのできないシーンに巡り会うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、講師の米 美知子さんが
一枚を選んでコメントします。


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「冬波高く」 舘岡保夫さん
大波が岩に当たり砕け散る瞬間を、的確なフレーミングとシャッタースピードで捉えました。鳥居を入れたことで波の大きさがよく表現されています。うろこ雲のおかげで、空の表情がとても豊かに描かれました。


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「錦秋」 関原万里子さん
まだ赤い葉を残す木をポイントにして、縦位置でうまくフレーミングしています。画面の中に入れる色
を整理したことで、落ち着いた晩秋の渓谷美が上手に表現されています。


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「湖上の銀河」 小原隆史さん
ダム湖の立ち枯れの木をポイントに、風で煌めく湖面の表情をいいフレーミングで捉えています。
湖面の煌めきを「銀河」としたタイトルも、お洒落で素敵ですね。



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「一瞬の幻想」 松村直人さん
立ち昇る海霧が太陽の光でオレンジ色に輝く瞬間を捉えた作品で、とても幻想的です。手前の岩の入れ方がよく、波の立ち上がるタイミングをきちんと見計らってシャッターを切ったところがいいと思います。


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「風津波」 瀬野ヨシ子さん
荒れる波の向こうから昇る朝日が「ダルマ太陽」になった瞬間を逃さず、上手に捉えています。海は霧で霞んでいるのですが、鳥居はしっかり見えているので画面にメリハリがよく出ています。


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「赤いじゅうたん」 川島加代子さん
赤いモミジで埋め尽くされた様子は、まさに「赤いじゅうたん」ですね。縦位置で形のいい木とその根を
うまく配して、平坦になりやすい画面に変化を持たせています。



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「燃える海」 草苅幹夫さん
日の出後に高く昇った太陽の強い光を利用して、金色に輝く力強い海を表現しています。めったに見られない
好条件の中、いいタイミングで捉えて動感のある作品になりました。



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「渓谷の秋」 渡辺 淳さん
花貫渓谷の晩秋美を縦位置で上手にフレーミングしています。画面中央下の流れる水面の部分に、
わずかですが空の青色を入れたことが心憎いポイントになっています。



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「紅葉の笠」 渡邊善也さん
色づいた黄色いカエデと特徴のある苔むした枝をバランスよく配して、美しい秋の景色を
表現しています。黄葉の後ろを流れる滝の音が聞こえてきそうな作品です。



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「満水のダムを彩る」 大久保 俊さん
青空を映した水面とオレンジ色の紅葉の対比が美しいですね。お持ちのカメラの1:1の
フォーマットをうまく活かした、絵心あるフレーミングになっています。



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「鳥居に挑む波と朝日」 野口制治さん
海霧が立ち昇る水平線から顔を出した太陽がダルマの形になったタイミングで、シャッターを切っている
のがいいですね。手前の岩の上で赤く光る潮だまりや、波打ち際の曲線をうまく活かしています。



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「湖面に咲く」 鈴木啓二朗さん
ダム湖の青色とオレンジ色の葉の色彩が美しい作品です。背景の湖面のさざ波が画面に変化を
もたらし、落ち着いた中にも静かな動感が感じられます。

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by fukei_photo-tour | 2011-02-16 19:57 | WEB講評会

鈴木一雄×風景写真“塾” in小国町 2010[秋]

10月末に小国町で開催された風景写真“塾”。
今年は紅葉の色づきが例年より多少遅かったものの、
一面に広がるススキ野原や新雪の飯豊連峰、そして不意に現れた空一面に広がる鱗雲など
数多くのシーンに巡り会うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の方が期間中に撮影した写真の中から、講師の鈴木一雄さんが一枚を選んでコメントします。


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「もの想う秋」斉藤紀子さん
紅葉の渓谷の風情がとてもいいですね。モミジの色を中心とした紅葉の彩りが魅力的です。川の中にある岩をうまく配して、とてもバランスのいいフレーミングをしました。若干アンダー気味の露出が紅葉の色合いをうまく引き出しています。


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池田和子さん
特徴のある秋の空の表情を大胆に捉えています。広角レンズで迷うことなく空を大きく入れて、下部にススキと飯豊連峰を少しだけ入れたフレーミングが絶妙です。雲が露出オーバーにならないように、かつススキや遠景の山々がアンダーにならないような露出もいいと思います。


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「キラキラ」目黒太郎さん
思い切って手前のススキをしっかり入れて、遠景に雪山を少しだけ入れた構成がいいですね。逆光でススキの輝きをうまく引き出しています。秋風による被写体ブレを活かしたところがこの作品の力になりました。風を嫌うのではなく、風を活かして画面に動きを出したことがよかったと思います。


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「すすき」千葉慶胤さん
ポジションの取り方がいいですね。ススキとキハダの紅葉が一番印象的に表現できるポジションを取っています。画面構成やフレーミングもこれでいいと思います。露出も適正で、逆光をうまく活かしました。秋の風情がとてもよく感じられます。


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「早暁の旋律」柳沼秀雄さん
画面から力強さが溢れています。手前の流れを主役として描き、背景を脇役としてうまくまとめました。撮影ポジションの取り方とレンズワークが上手です。手前の流れはシャッタースピードをあまり遅くせず、ある程度の早さを確保したことで躍動感が伝わってきます。少しアンダー気味の露出も、早朝の雰囲気が感じられていいと思います。


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「秋色」木村俊三さん
ほとんどの人が気がつかないところにカメラを向けた、被写体の選び方がとてもよかったです。赤や黄色、緑、オレンジなどの木々のさまざまな色合いが、まるで協奏曲を奏でているようです。静かな画面からは、魅力たっぷりの音色が聞こえてきます。葉の表面にほどよく反射を残しているのもいいですね。


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「峠の木」吉田 仁さん
紅葉したキハダの木立をしっかりと捉えながら、ススキと秋の雲を脇役としてうまく画面をまとめました。真正面から向かい合った姿勢がいいですね。画面構成や露出、ポジションの取り方もいいと思います。秋の空気感がとてもよく伝わってくる作品です。


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「色づく里山小国」金田 茂さん
飯豊連峰をはじめとした山々に囲まれた小国の季節感をしっかりと捉えましたね。山里の彩りをこの一枚にうまく表現しています。ガスのかかった画面上部の山の入れ方もよく、スケール感が感じられ、見ていて気持ちのいい作品です。露出も適正です。


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「夜明け待つ」草苅幹夫さん
夜明け前の長時間露出の世界を、とてもうまく活かして撮りましたね。渓流の流れから遠くの飯豊連峰まで、青白い独特の雰囲気でまとめています。ピントや被写界深度の取り方も十分で、作品としての完成度はかなり高いです。ガスが流れている山の風情もいいと思います。


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小池福子さん
ブナの森の風情をしっかりと捉えています。雑然とした森の中は写真で捉えるとなかなか難しいのですが、この作品は3本のブナを堂々と真ん中に配し、周囲の雰囲気もしっかりと表現しました。その時の状況を素直に受け入れて捉えた森の風情が、この作品の力になっています。
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by fukei_photo-tour | 2011-01-25 11:34 | WEB講評会

【WEB講評会】辰野 清×風景写真“塾”in長野 2010[秋]

国内でも指折りの紅葉名所として知られる乗鞍・蓼科。
10月に開催された風景写真“塾”では、乗鞍の大スケールの紅葉風景や
蓼科の水風景など、さまざまなシーンを撮影することができました。
「WEB講評会」では、参加者の方が期間中に撮影した写真の中から、講師の辰野清さんが一枚を選んでコメントします。

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「瞬」後藤慶子さん
抜けるような秋の青空をバックに、弾けたポップコーンのような雲の形がいっそう爽やかさを盛り上げていますね。広角レンズでPLフィルターを使用すると、通常はPLムラが出やすい場面ですが、順光の空を配したことで自然な描写となりました。また、扱いは少ないのですが、手前に黄葉を入れたことで秋の季節感が助長されました。


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「やすらぎの時」黒澤泰弘さん
静寂感が漂う山湖のほとりでも、穏やかに秋は移行しています。湖面に落ちたまだ鮮やかな落ち葉も魅力ですが、むしろ黒澤さんは背景の投影された枝のシルエットと、わずかな冷気を感じる山肌の雰囲気に時候の思いを感じられたのでしょう。そのような心象を大切にしてシャッターを切った気持ちが伝わる作品です。

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「黄葉」太田裕紀子さん
山肌を彩る鮮やかなダケカンバの黄葉とナナカマドの赤色に、一足季節が早い裸木のラインをバランスよく組み合わせています。光の選択も的確で、微妙なトーンをもって秋の時間の経過を描いています。一会のイメージを大切にして、根強く光のタイミングを待った成果が写真に表れています。

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「無題」大谷昌子さん
倒れて朽ちていく木々はよく題材になりますが、この作品は苦境に耐えながらも頑なに生きることにこだわっている大樹の姿を、斬新なカットで誇張したところに共感を覚えました。緑色の葉の持つ生命力への誘導も、ここでは効果的に働いています。周囲がすでに秋色であったなら、ここまでの活力は描けなかったでしょう。

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「無題」野口昭一さん
美しい白樺のラインと湖面の朝靄によって清楚な雰囲気が写真から漂っています。また、控えめに配した一本の紅葉に乙女の可憐さを感じるのはなぜでしょうか。雑然としてしまいそうな白樺の分量を、左右の微妙なアングルの移動で解消しています。明るめに表現されたことも絵画的で好感が持てました。

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「小さな命」奥 祥太郎さん
背景の森に憧れや希望を描いているような若木の想いが想像できる写真です。ここでの生育は困難なのでしょうが、ファインダーを通して精一杯秋を演じている健気な姿に、作者はエールを送ったのでしょう。目につく背景の白樺のラインを上手に配して、小さな主役を引き立てたアングルも秀逸です。

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「無題」常峰利次さん
水辺に佇む2本の白樺を、どことなくメルヘン調に仕上げた独創性を評価しました。それは前ボケに入れた紅葉の効果も大きく、奥を覗くような構成術によって主役の存在と穏やかな時間の流れに心が安らぎます。背景との光の扱いにもうまさを感じますが、画面構成からも“常峰ワールド”を感じる作品です。
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by fukei_photo-tour | 2010-12-17 22:04 | WEB講評会
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『風景写真』の撮影会です


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