隔月刊『風景写真』の撮影会 レポート&講評会

fukeitour.exblog.jp ブログトップ

<   2010年 12月 ( 1 )   > この月の画像一覧

【WEB講評会】辰野 清×風景写真“塾”in長野 2010[秋]

国内でも指折りの紅葉名所として知られる乗鞍・蓼科。
10月に開催された風景写真“塾”では、乗鞍の大スケールの紅葉風景や
蓼科の水風景など、さまざまなシーンを撮影することができました。
「WEB講評会」では、参加者の方が期間中に撮影した写真の中から、講師の辰野清さんが一枚を選んでコメントします。

b0199137_21312939.jpg
「瞬」後藤慶子さん
抜けるような秋の青空をバックに、弾けたポップコーンのような雲の形がいっそう爽やかさを盛り上げていますね。広角レンズでPLフィルターを使用すると、通常はPLムラが出やすい場面ですが、順光の空を配したことで自然な描写となりました。また、扱いは少ないのですが、手前に黄葉を入れたことで秋の季節感が助長されました。


b0199137_21314840.jpg
「やすらぎの時」黒澤泰弘さん
静寂感が漂う山湖のほとりでも、穏やかに秋は移行しています。湖面に落ちたまだ鮮やかな落ち葉も魅力ですが、むしろ黒澤さんは背景の投影された枝のシルエットと、わずかな冷気を感じる山肌の雰囲気に時候の思いを感じられたのでしょう。そのような心象を大切にしてシャッターを切った気持ちが伝わる作品です。

b0199137_21321220.jpg
「黄葉」太田裕紀子さん
山肌を彩る鮮やかなダケカンバの黄葉とナナカマドの赤色に、一足季節が早い裸木のラインをバランスよく組み合わせています。光の選択も的確で、微妙なトーンをもって秋の時間の経過を描いています。一会のイメージを大切にして、根強く光のタイミングを待った成果が写真に表れています。

b0199137_21323116.jpg
「無題」大谷昌子さん
倒れて朽ちていく木々はよく題材になりますが、この作品は苦境に耐えながらも頑なに生きることにこだわっている大樹の姿を、斬新なカットで誇張したところに共感を覚えました。緑色の葉の持つ生命力への誘導も、ここでは効果的に働いています。周囲がすでに秋色であったなら、ここまでの活力は描けなかったでしょう。

b0199137_21325397.jpg
「無題」野口昭一さん
美しい白樺のラインと湖面の朝靄によって清楚な雰囲気が写真から漂っています。また、控えめに配した一本の紅葉に乙女の可憐さを感じるのはなぜでしょうか。雑然としてしまいそうな白樺の分量を、左右の微妙なアングルの移動で解消しています。明るめに表現されたことも絵画的で好感が持てました。

b0199137_21331120.jpg
「小さな命」奥 祥太郎さん
背景の森に憧れや希望を描いているような若木の想いが想像できる写真です。ここでの生育は困難なのでしょうが、ファインダーを通して精一杯秋を演じている健気な姿に、作者はエールを送ったのでしょう。目につく背景の白樺のラインを上手に配して、小さな主役を引き立てたアングルも秀逸です。

b0199137_21333393.jpg
「無題」常峰利次さん
水辺に佇む2本の白樺を、どことなくメルヘン調に仕上げた独創性を評価しました。それは前ボケに入れた紅葉の効果も大きく、奥を覗くような構成術によって主役の存在と穏やかな時間の流れに心が安らぎます。背景との光の扱いにもうまさを感じますが、画面構成からも“常峰ワールド”を感じる作品です。
[PR]
by fukei_photo-tour | 2010-12-17 22:04 | WEB講評会
line

『風景写真』の撮影会です


by fukei_photo-tour
line
クリエイティビティを刺激するポータル homepage.excite