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[ 2011-07 -01 16:03 ]
しだれ桜やエドヒガンをはじめ、スイセンやコブシなど季節の花々にも
出合うことができました。
「WEB講評会」では、参加者の皆さんが期間中に撮影した写真の中から、
講師の辰野 清さんが一枚を選んでコメントします。

奥村静子さん 「春の彩り」
桜など千両役者が揃う春においては、姿形の割には椿の印象は比較的薄いと思います。しかし、奥村さんはしだれ桜の影で楚々と咲く一輪に注目したことで、椿が春の主役を演じましたね。視点の鋭さが個性として感じられます。背景の空が明るく、椿が黒く潰れてしまう難しい場面ですが、わずかな光に注目し露出を上手に決めています。

北岑順彦さん 「早春」
真っ白な雪山と澄みわたる青空、田おこし間近の田んぼの畦道に咲く満開のスイセン。まさに信州を代表する絶景ですね。アングルを低く構えて、スイセンと雪山が気持ちよさそうに会話しているような構成が、北岑さんの拘りなのでしょう。スタンダードな作風ですが、長く飾っても見飽きない美しい作品です。

舘岡保夫さん 「よりそって、春」
田園風景ならではの、のどかな春の空気感がいいですね。ゆっくりと温められ、蒸すような土手や枯れ草の匂いも感じられます。舘岡さんは一足早く春を迎えたコブシの大樹と桜の若木の対比に、春のささやきを聞いたのでしょう。もう人気の無い旧家も繰り返す時代の流れを感じさせ、味わい深い脇役として生きています。